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2020.02.21
#尼崎をロンドンに。 チャリティーショップでつなぐ『ふくる』の在り方

 

みなさんは、チャリティーショップをご存知でしょうか?

言葉を聞いたことはあるけれど、詳しいことを知らない方が多いかもしれません。

 

 

チャリティーショップとは、服を提供することはもちろん、その服を買うこともすべて「寄付行為」で成り立つ仕組みのこと。
このシステムを尼崎市で採用しているのが、チャリティーショップ『ふくる』です。今回、『ふくる』が立ち上がった背景や取り組んでいる目的などについて、代表の清田 仁之さんにお話をお聞きしました。

 

 

チャリティーショップで「20円」と「80%」を解決する

 

ーチャリティーショップ『ふくる』とは、どのようなお店なのでしょうか?

 

『ふくる』は「福祉のまち園田プロジェクト」を実現するための一環として運営しています。
阪急園田駅の周囲2km圏内で、誰もが自分らしく生きられる可能性をつくるのプロジェクト。

 

その根本には、「所有から共有へ」といった理念があります。
一箇所に役割や機能が集中するのではなく、子ども、お年寄り、障がいのある人、それぞれが自分を発揮できる、一人ひとりが生き生きと生きられるような環境をつくっています。

 

ー『ふくる』はどのような役割を担っているのでしょうか?

 

清水:私たちが『ふくる』で解決したい課題を表すキーワードが2つあります。

 

1つめは「20円」です。びっくりするかもしれませんが、これ、アルバイトの時給額なんです。
あるとき、車椅子に乗っている26歳の男の子が「今月の給料2,000円でした」って言うから、どれくらい働いたか尋ねると「100時間です」って。お金が全てではないと思いますが、これだと自己肯定感にも繋がらないですよね。

 

 

障がいのある人は職業を選択する幅が狭すぎると気づきました。
接客業に向いている人もいるはずなのに、あまり人目に触れない仕事に就いていることが多い。そもそもアルバイトをしたことがなく、憧れを抱いている人もいます。
そんな現状を知ったとき、『ふくる』で働くことが選択肢の候補になればいいなって。障がいのある・なしに関係なく、店長を目指せる環境を整えていきたいなと思っています。

 

2つめは「80%」。これは日本で燃やされている服の割合です。
いらなくなった服を活かせる窓口が多い印象があると思うんですけど、実際はそうではないんです。しかもこの状況は、先進国の中では日本がダントツ多いんですよね。

 

 

ーどうして日本は遅れているんでしょうか。

 

日本人は、新品はいいもの、中古は良くないというイメージが強いんだと思います。『ふくる』でも新品志向に配慮して、お店の服は全て洗濯とアイロンがけを行っています。

 

『ふくる』は障がいのある人が働く場所であり、燃やす服を少しでも減らす場所。また、いろんな人と繋がる場所とも考えています。
チャリティーショップは課題を解決しながら、つながりを増やしていける。とても素敵な在り方だと思っています。

 

 

#尼崎をロンドンに

 

ーチャリティーショップには、いろんな社会課題を解決する可能性があるんですね。

 

基本的に、チャリティーショップには寄付行為で解決したい課題が設定されています。日本と比べて、欧米には癌患者からLGBT、途上国に至るまで、さまざまなテーマのチャリティーショップが存在します。

 

また、売る人や買う人は、自分の興味のある課題に沿って、寄付行為の対象を選ぶことができます。いつでもどこでも寄付できるように、ポストまで設置されているんですよ。自分の興味がある、解決したい社会問題にあわせて選ぶことができる。それが、社会課題自体の認知拡大にも繋がっています。

 

 

ー社会課題の解決に、身近なことから携われそうですね。

 

イギリスには、チャリティーショップが日本のローソンの数と同じくらいあるんですね(※1)。「自分も着なくなった服あるな、誰か欲しい人がいたら譲りたい」と思ったとき、「そういえばあそこにチャリティーショップあったな、持っていこう」と気軽に利用されています。

 

イギリスの人に「ここ1週間で寄付か、ボランティアをしましたか」と聞いたら、80%の人が「YES」と答えるんですよ。それは、単純に利用する機会がたくさんあるからだと思います。

 

日本もそうなればいいなって。だから、僕は『ふくる』の運営を通して、「尼崎をロンドンにしたい」と思っているんです。
それこそ、「#尼崎をロンドンに」とSNSでつぶやいていますよ(笑)。

 

 

すべての人が自分らしく、生き生きと居られる場所を目指して

 

 

ー今後、『ふくる』で取り組みたいことを教えてください。

 

ゆくゆくは服の集荷センターにしたいと思っています。服を選別するとか、アイロンをあてるとか、そういうのもここで全部やってしまいたい。そうすれば、接客があまり得意ではない障害のある人も、自分らしく働ける環境をつくれると思うんです。

 

また、いつかは交換留学制度もしたいと考えています。障がいのある人にとって、海外に行くことは「叶えられないリスト」に入ってると思うんですよね。ロンドンと日本で交流ができたらおもしろいなと思っています。

 

 

ー運営を支えるボランティアの人に、どうなってほしいと考えていますか。

 

まずは、なにかしら学びになったらいいなと思います。運営の仕組みでも、人との関係でも、尼崎という地域のことでも。どのようなテーマを深めるかは、その人次第です。あとは、社会課題に共鳴してくれる人が増えるといいですね。その上で、みんなの「やりたい」が集まる場所になればいいなと思いますし、そうしていきたいと思っています。

 

(インタビューここまで)

 

 

全てが誰かの「やりたい」という気持ちで成り立ち、その取り組みを地域に広めているチャリティーショップ『ふくる』。自分の在り方や、一緒に取り組む仲間を誇らしく語る清田さんのお話を聞き、この先に描く景色を私自身も見てみたいと心を動かされました。

 

 

チャリティーショップ『ふくる』では、ボランティアの方を募集しています。
Instagramでもさまざまな発信を行っているので、合わせてご覧ください。あなたの世界が広がるかもしれません。

 

▼アカウントはこちらのURLから

https://www.instagram.com/20charity19.amagasaki/

(※1)イギリスのチャリティーショップ数は約1万1200軒(チャリティー専門の小売組合「チャリティー・リテール・アソシエーション」より)。ローソンの国内店舗数は約1万4000軒(ローソン企業情報より)。

 

 

–  チャリティーショップ 「ふくる」Facebookページ

(取材協力チャリティーショップ 「ふくる」)

ライター:「地域ライター養成講座2019」受講生