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2020.02.14
お寺でなにする? おもしろいが詰まった『西正寺』テラから始まる基金のハナシ

 

あなたにとって、お寺はどのような場所でしょうか?

 

「以前、法事でお世話になった」「両親がよくお寺の話をしていた」「前を通り過ぎるだけ」。
人によって違うのはもちろん、世代によってもお寺のイメージには違いがあると思います。

 

生活とお寺が密着していたころから時代は変わって、世代を経るにつれて存在感が薄くなっていく。
その中で、新しいお寺の形を模索している人がいます。

 

『「お寺がある」ということが、社会や地域にとってどんな意味があるのか、問い直される時期が来ているように思います。』

 

そう話すのは、西正寺のご住職である中平 了悟(なかひら・りょうご)さんです。
テラからはじまるこれからのハナシ『テラハ』や、お寺でカレーを食べる『カリー寺』、お寺で落語を行う『西正寺寄席』など、数々の取り組みをされている中平さんにお話を伺いました。

 

 

西正寺に集まる、企画を実現する工夫

 

―中平さんご自身が企画を行う上で、工夫していることはありますか?

 

それがお寺という場所で行われることにどんな意味があるのか、なぜそれがお寺でおこなわれるのかということを、できるかぎり意識して考えるようにしています。それは「お寺だから」という形でうけとられるかもしれないし、「お寺なのに」という形でうけとられるかもしれない。「空気を読まずに、空気を読む」というか。ただ空気を読むだけなら、なにもしなくていいかもしれない。自分がいいなと思ったこと、チャレンジしたいなと思ったことをするというのは、ある意味空気を壊すことだと思うんです。

しかしお寺は、檀家さんとの関係の上に成り立つものでもあるので、受けいれてもらえるかどうか、空気を読みながらやっているのかもしれませんね。

 

 

―いろんな方と一緒に企画をする中で、大事にしていることはなんでしょうか?

 

企画によって性質が違っていて、ひとことでは表せませんね。それぞれ引き受け度合いが違って、「全部お寺で起こっているんだけど、その中にどれだけそのひとの想いが入り込んでいるか」みたいな違いがあると思っています。

 

主催者の方の想いに協力する形で関わっているものでは、お寺で起こることへの責任は引き受けつつ、主体となっているひとの想いを大事にしたいと思っています。カリー寺の場合は「カリー寺住職」の名前も背負っていますし、主催者側なので、自分のしたいことやお寺としてやってみたかったことをしてもいい場なのかなと思っています。

 

―お寺で企画を行うというだけで、なにか特別な感じがしますよね。

 

「お寺」という言葉の中に、世界観や価値が蓄積されていると思うんです。その感覚は、守るべきものだし、育てていくべきものだと思います。新しい取り組みをしていく中で、それらを消費してしまうのではなく、足していけるような取り組みをしていくべきだと思っています。

 

 

 

『カリー寺基金』の使い道を想像する

 

―今回の取材に際して、新しく『カリー寺基金』を企画していると伺いました。基金をしようと思いついたきっかけを教えてください。

 

おかげさまでカリー寺は、地域のみなさんにさまざまに助けていただいて、盛況に開催してくることができました。その展開の一つとして、カリー寺のイベントや、レトルトカレー「カリー寺」の売り上げ等を地域に補助金のような形で還元して、面白い取り組みのお手伝いができれば、ということに思い至りました。

お金だけではなく、人やアイデアなどさまざまなつながりや刺激のきっかけになったらと思っています。

 

 

―例えば、中平さんなら『カリー寺基金』をどのように使いますか?

 

うーん…ぱっとは思いつかないですね(笑)。基金の10万円でやりたいことがあったら、その企画の提案をしていたかもしれません。しかし、それ以上に誰かを応援したり、きっかけになるこの「仕掛け」を作ることに魅力を感じたのかもしれませんね。

やりたいことをカリー寺基金を使ってできるのもいいんですけど、「基金があるから、な

にかやってみようかな」という状況をつくれることもおもしろいなと思っています。

 

―どんなことに『カリー寺基金』を使ってほしいですか?

想像もできないような使い方をしてほしいですね。心がゆすぶられるというか、思いつきをくすぐられるような。この地域に興味や好意を抱くきっかけになることでもいいですし、活用する人の生きざまが現れるようなことでもいい。具体的には、なにかの課題を解決したいとか、場所を借りたいとか、人を呼びたいとか、あるいは自分を表現する何かを作りたいとか。儲からなくてもいいんです。それよりも、実現したいという熱意や強い想いがある方に使ってほしいですね。

 

 

これからの「テラ」のハナシ

 

―今後、中平さんは西正寺をどのような場所にしていきたいですか?

 

大江戸ブギウギというイベントで、着物のファッションショーがあったんです。それにご家族で出られた方がすごく良い表情をされていて、それを見たときに「一生に残る思い出」に立ち会えたような気がしてすごく嬉しかったんです。そういった、誰かの一生の思い出に残るような出来事がたくさんあるお寺になれたらいいなと思っています。あるいは、西正寺が「自分のお寺だ」と思ってもらえるような関わりが増えたらいいですね。

 

おかげさまで、これまでよりもいろいろな人に西正寺はきていただけるようになりました。人の数が問題じゃないですけれども、すごく大きなお寺・たくさん人がくるお寺って、「門前市」ができるじゃないですか。そんな風に、お寺に人があつまることが地域にも具体的になにかいい影響や変化が起こってくるといいなと思っています。西正寺を訪れることで、なにか新しいことがはじめられる。そんな予感とかきっかけがある場所になれればいいですね。

 

 

―最後に、カリー寺基金について詳しい情報を教えてください。

 

まだ詳しく確定はしていませんが、年明け(2020年の1月頃)くらいからリリースして、3月まで応募を受け付ける予定です。その後、最終プレゼンをする流れですね。Facebookやチラシでも発信しますが、クラウドファンディングもやろうかなと思っています。

 

 

お寺という場だからこそ、できることに取り組んでいる中平さん。古くから親しまれてきた「お寺」という言葉や存在に蓄えられたイメージや価値を守りつつ育てつつ、魅力を足していくこと調整をするのが自分の役割でもあると話されていました。

 

お寺で取り組みたい人がいて、その実現をサポートする人がいる。自分の想いだけでなく、周りの想いも含めて、みんなで企画や場所をつくっていく。それこそが西正寺の魅力であり、そこに惹かれた人たちが集まってくるのだと感じました。

 

これから『カリー寺基金』を皮切りに、もっともっと、おもしろいことが起こる予感。興味を持った方はぜひ、Facebookをチェックしてみてください。

 

 

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(取材協力 西正寺)

ライター:「地域ライター養成講座2019」受講生