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2020.01.17
地域の人が「薬局」で楽しむ。 自分が主役になれる場所『まごころ茶屋』

 

あなたは薬局についてどのようなイメージがありますか?

病院のお薬を処方してもらう、「調剤薬局」の印象をお持ちの方がほとんどではないでしょうか。

 

でも、尼崎市武庫之荘にある『まごころ薬局』は、お薬を患者さんに処方するだけの薬局ではありません。『まごころ茶屋』というコミュニティスペースを併設していて、様々なイベントを通して地域の人と交流しているのです。

 

今回、まごころ薬局のオーナー・福田惇(ふくだじゅん)さんにお話を伺うべく『まごころ茶屋』さんを訪れました。すると、なんと森が広がっていたのです…!

 

 

患者さんや地域の人たちをプロデュース

 

「山登りが好きだった患者さんがいらっしゃるんです。でも、肺炎を患い、山に登れなくなってしまって。だから、『うちで山をつくりますから、もう一度、山に行きましょう!』と提案してつくったんですよ」

 

大学を卒業しMRとして3年間働いた福田さん。事業譲渡で薬局を引き継ぎ、『まごころ薬局』を開業しました。また、2019年4月、地域の人たちが交流する場として、コミュニティスペース『まごころ茶屋』をオープンさせます。

 

 

「1日ごとにイベントスペースとして貸し出したり、ここに来たら誰かに合えるような場所として開放したりしています。今回の山のイベントについては、知り合いの植木職人さんと一緒につくりました。でも、基本的には、患者さんや地域の人が、自分で得意なことを表現してもらうようにしています。誰かにつくってもらうよりも、自分でつくる方が元気になりますからね。患者さんや地域の人たちが主役になれる場所を、僕たちでプロデュースする感覚です」

 

確かに、人は好きなことをしているときが一番元気になりますね。

 

「まごころ茶屋自体もDIYが得意なおじいちゃんをはじめ、近所の人たちとつくりました。ゆるい空間なので、身構えずにチャレンジしてほしい。『健康になりましょう!』じゃなくて、『何か楽しいことやろうぜ!』というノリなんです」

 

地域の人と一緒に盛り上がる薬局へ

 

福田さんは、どのような経緯で『まごころ茶屋』をはじめたのでしょうか。尋ねてみると、「お薬をお渡しするとき、元気な人と、そうでない人がいることに気づいたんです」と当時を振り返ります。

 

「患者さんの様子を観察していると、お友達と頻繁に会っている方や趣味などに取り組んでいる方はとても元気。一方で、お家に閉じこもりがちな方はあまり元気じゃないという違いが見えてきました。だとしたら、友達をつくったり、やりたいことを見つけたりすることが、患者さんの心身の健康につながるんじゃないかと思ったんです」

 

そこで、福田さんに転機が訪れます。

 

「今から3年前、創意工夫している薬局を表彰する『薬局アワード』という大会に参加したんです。そのときに、埼玉県で厚川薬局を運営されている厚川先生に出会いました。そこでは、地域のコミュニティをつくりながら、地域の人と一緒に薬局を盛り上げていくことをやっていて。僕のなかで『これだ!』と思ったんです」

 

 

自分が運営する薬局でもやってみよう。そう考えて動き出し始めますが、そもそも地域の人たちに『まごころ薬局』があることさえも認識してもらえていない状況でした。

 

「それでも『やりたい!』と思っていたとき、尼崎でコミュニティデザインをしている『尼崎ENGAWA化計画』の藤本遼さんと出会いました。『薬局でコミュニティデザインをやりたい』と相談してみると、『是非一緒にやりましょう!』と言ってくれたんです」

 

2018年6月頃から、本格的にコミュニティスペース開設に動き出した福田さん。当初、スタッフからは反対の声もあったのだそう。それでも、なんとか乗り越えて、2019年4月に『まごころ茶屋』をオープンします。

 

「オープニングイベントでは、誰でも参加できるファッションショーや様々なワークショップをしました。決め手となったのは、今年の5月に実施した『中村さんの写真展』です。患者さんはもちろん、患者さんの家族もすごく喜んでくれて、感謝してくれた。その様子を見てスタッフの姿勢も前向きに変わってくれました」

 

いろんな人との交流、肩肘張らない暮らし

 

これからの取り組みについて福田さんに聞いてみました。

 

「直近では『産フェス』をはじめるために動いています。産前から助産師さんと気軽に繋がれたり、ベビーシッターや産後ドゥーラーに対して抵抗感を抱いている人の相談に乗ったりできるイベントです。今、僕自身も子育ての真っ最中なのですが、夫婦二人だけで育児をするのは難しいなと感じているんですね。『世間の育児を他人に頼るなんてダメ!』

というブロックも外していきたいって思うんです」

 

福田さんが何度も話していたのは「気軽に!」という言葉。そこには、コミュニティスペースで、いろんな人たちが交流し、信頼関係を築いていってほしい。たった一人(一家族)で頑張らなくていいという想いが込められています。

 

何だか元気がないなぁと思ったら、肩肘張らずに『まごころ茶屋』を訪ねてみてください。福田さんとお話することで、心のモヤモヤが晴れていくでしょう。そして、何よりも、一人ひとりが主役となり、生き生きと活動している人たちと出会うことで、今まで知らなかった新しい自分が見えてくるはずです。

 

– まごころ薬局・まごころ茶屋 Facebookページ
まごころ茶屋HP

(取材協力 まごころ薬局/まごころ茶屋)

ライター:「地域ライター養成講座2019」受講生